魔法のことば

エスキモーの人々に伝わる一篇の詩をもとに、構成されている。
この詩に出会ったとき、理屈抜きで、直感的に、「そうだったんだよな〜」と気がついた。
妙な確信。

ずっと、ずっと大昔

人と動物がともにこの世に住んでいたとき

なりたいと思えば人が動物になれたし

動物が人にもなれた。

だから時には人だったり、時には動物だったり、

互に区別はなかったのだ。

そしてみんながおなじことばをしゃべっていた。

その時ことばは、みな魔法のことばで、

人の頭は、不思議な力をもっていた。

ぐうぜん口について出たことばが

不思議な結果をおこすことがあった。

ことばは急に生命をもちだし

人が望んだことがほんとにおこった—

したいことを、ただ口に出して言えばよかった。

なぜそんなことができたのか

だれにも説明できなかった。

世界はただ、そういうふうになっていたのだ。

絵:柚木沙弥郎 訳:金関寿夫 出版社:福音館書店 2000年4月25日発行


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