時の旅人

アリソン・アトリーの作品が好きで、大概はむさぼるように読みきってしまうのだが、この作品は、読み始めてからぐっとはいりこむまで、少し時間がかかった。なんとも重層感のある読み応えたっぷりのタイムトラベラー小説。

個人的にはイギリス農村部の生活風俗の描写が興味深いし、アトリー自身の経験に裏打ちされた農場の暮らしの描かれかたが好き。
彼女は、幼少期を農村で暮らし、学校には長い道のりを森を抜けて通っていたそうで、農村のことが立体的に描かれている。そこらへんのことがもっとよく描かれているだろう『農場にくらして』というアトリーの自伝的作品も読みたいがなかなか本が手に入らない。どこかで出会うのを楽しみにしている。

時間は3つでひとつ。へんなロジックだけど、3つないと時間にならないから、3つでひとつと思う。
その3つが、混ざり合うのが、タイムトラベラーもの。
「現在」から「過去」に行けば、「過去」では「現在」は「未来」になり、そこでは「未来」を持ったまま「過去」を「現在」として生きる。フハハ。時間は不思議。

時間旅行へは、タイムマシーンに乗ったりしないで、日常の中で、不意にモヤモヤと時間の扉をくぐってしまう。不意に時間が混ざり合う。いつのまにか過去に紛れ込んでしまう。時の旅人。そういう旅もいいかもしれない。過去(歴史)というのを現在から見つめ、その過去から未来を展望するということは、どの時代にも自分を知る助けになる。

『時の旅人』アリソン・アトリー作 松野正子訳 岩波少年文庫531 1998年3月16日発行
20161218/hige31


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